高畑耕治の詩


梅雨、生きる




こころ梅雨入り

 ( この島国の政治天気図ほど
  酷くでたらめじゃなくても)

蒸し暑さに息つまり
横なぐりの雨のしぶきにむせ
雨水だか汗だか涙だか
わからない生暖かな
じめじめ液体に
じとじとまといつかれ
ぐしょぐしょひたされ
ぐしゅぐしゅやるせない

 ( 憲法も国会も民主制も
  尊重すらできない
  ヒステリックな不機嫌顔の
  重苦しくどす黒く不快な
  雷雲どろどろ
  戦争のむごさ醜悪さ学ばない
  対話努力もしない傲慢な
  好戦的交戦予報士の
  おどろおどろしく群がる
  集団的自衛妄想特定秘密妄想
  非戦平和ねがう人びとの
  暮らしている町
  兵器と原発の名産地にして
  私利私欲肥やそうと
  厚顔無恥な嘘ばかり
  公約にない悪政ばかり
  独り善がりの汚染水ばかり
  撒き散らかし )

愛の晴れあがり
陽光ふりそそぎ
微風かろやかな
微笑みの季節
どこいった?

けれどこころ澄ませば
きこえてくるよ
田んぼの
苗も蛙も
せつなく雨恋い

 ( どうかしとやかな
  雨を愛の滴をこそ )

ぬらされるほどに
あざやな色彩ふかめる
紫陽花しずかにつたう
雨粒になりたい

 ( 四季おだやかな
  美しい移ろい
  忘れず
  思い出そうよ
  とり戻そうよ )

母のなつかしい肌の
しめやかなしめり
乳の滴り
白い慈しみの季節に

カタツムリの隣のちいさな
水玉となり
ひかりあい
ひびきあい

 ( ひとの愚かさによる穢れ
  海と山脈のあおから
  どうかはやく )

梅雨をいま

 ( あらいながされますように )

生きる




* ルビ 酷く: ひどく。山脈: やまなみ。



「 梅雨、生きる 」( 了 )

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