高畑耕治のちいさなお話


葉っぱのハート、すみれに。




   六.メビウスの輪。


さようならしました。
さようならして泣いていたら、どうしてだろ、
わたし、感じたんです。
すみれは、いまわたしだって。

境界線は、死と生を隔てる壁じゃなくて、道。
くねくね道を、向こうに倒れ込みそうになりながら、
よろめき歩いていくのが人間なんだって。


境界線はきっと、一方通行の行き止まりじゃない、
メビウスの輪。
死と生の交わりあえる、
おさんぽ道なんだって。

わたしいまも、サツマイモさんと、すみれさんと、
生きてるって。
わたしも赤紫のサツマイモの、
うすむらさきのすみれの、
ハート宿してるんだって。

だから、つらくても、
愛しみ香らせて、わたし、
生きるんだ。





* ルビ 愛しみ: かなしみ



「 葉っぱのハート、すみれに。六.メビウスの輪。 」( 了 )

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