すみれは、壊されました。歪みきった、醜い、獣に。
こわかったろうに。
ぼくはすみれ、あなたを守れなかった。
ゆるして。すみれ、ゆるしてください。
ぼくはぼくをゆるせない。ゆるせない、なにもかも。
いやだ、もう人間はいやだ。
ゆるしてくださいお願いです、
ぼくを人間であることからもう、
解放してください。
気づくとぼくは、なぜだか、赤紫のサツマイモでした。
誰が願いを叶えてくださったのでしょう。
涙が、祈りいろに溶けながら人間の姿を洗い流し、
変身をゆるしてくれたのでしょうか。
ぼくはいまサイツマイモ、
葉っぱのハートは、人の日の心の形のなごりです。
この部屋で、出会えたきみ、
きみに、すみれの面影が、香ったんだ。
きみは、似ているんだ、すみれに。
もう一度、話したかったんだ。すみれと。
もう遠い日、
人間だったぼくの、悲しい、失くした愛の、
記憶。蘇ったんだ。
出会えた頃、愛しくて生まれた、うた、
すみれに捧げた、
うた、
いま、きみに。
すみれに
きみにであえた今朝はしあわせ
すみれ
清楚なひびきの
すみれ
うすむらさきあわい
すみれ
こびとになりたいなきみの
恋人にして
忘れないでね。
二人を。覚えていてね。