高畑耕治のちいさなお話


葉っぱのハート、すみれに。




   三.すみれのノート。踏み外しそう。


   最下等動物

地震、津波、豪雨、雷、豪雪。
こわい。あんなにひどく、あんまりひどく。
おどされているよう。
こわい。おびえて、泣くことしかできない。
こころ凍り、ふるえ止まらない。
この星もう壊れるのでしょうか?
どうして壊そうとするの? どうして?
戦争、殺し合い、暴力だらけ。
人類の歴史、殺し合ってばかり。
武器だらけ。核だらけ。原発だらけ。放射能だらけ。
公害、汚染だらけ。もう、息できない。
どうして人殺す道具、つくるの平気なんだろ。
殺されるまえに殺せとわめく憎しみの声ばかり、
あふれてる。殺し合うことに血眼な、
大人たち、獣、いやだ。
第何次大戦までやりたいんだろ。
醜すぎて、人間って、呼ぶのもういやだ。
この星、穢すばかりの、壊すばかりの、
この星にとって、最悪で、有害な、最下等動物。
わたし、恥ずかしい。
悲しい。


   天球図

さかさまに吊られていて落ちそうです、空へ、宇宙空間へ。
頭から底なしの真空に、落ちてゆきそう。
目まいに襲われ意識を失う瞬間にいつもいるよう、
わたしをとりまくすべてが回って、感じられて。
天球の玉に閉じ込められたまま転がされ、よろめいて。
地球、回り、太陽、回り、天の川の波間、浮かび揺れ、
銀河、回り、回り、回り、さ迷い、くらくらと、闇。
どこにいるの? どこへゆくの?
わたし、こわい。


   アラベスク

わたしではない生きもの、生きている、ものを、
食べないとわたしは生きられない、死んでしまう、のは、
まちがってはいないかと、ずっと、思い、
いまも、こころのおく、思っている、わたし。
この世界、とてもこわい、
あやまちでしょうか?
つくられたの? しぜんに、うまれたの?

かみあくましぜん。かみあくまあるがまま。

わたしはなぜ、うけいれるの?
わたしが、あるのも、わずかな、しゅんかん、
なのに、わたしをわたしがこわすなんて、
これまで、わたしになってくれた生きものたちに、
はずかしい、から。
わたしは、食べ、食べられた、ものの、
アラベスク。
わたし、こわい、
けど、こわさない、でも、こわされそう。




「 葉っぱのハート、すみれに。三.すみれのノート。踏み外しそう。 」( 了 )

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