高畑耕治の詩


ひなの星



  ひなの星


虹くぐりぬけ
青空高くとおく山脈を越え
おさな子たち
わたしのひな
翔けてゆきました

 ( どこへゆくの? )

見えなくなっても 耳を澄ますと
空の青のうすれゆく果て
はるかな宇宙の潮騒が聞こえてきます
星たちと銀河のしぶきは
羽ばたきの音色を奏で
ふりそそいでくれるのです

永遠の
海の
波の あわに
瞬間 うつろう
色もよう

 ( 生まれたね
  ひょっこり うっかり )

ひなもわたしも
おばあちゃんも
おなじ瞬間 いま
愛しあってる
嬉しいなわたし
愛するままに溶けこんでゆく

 ( 消えて逝くのね
  ひっそり あっさり )

この星も
一瞬の あわ
シャボン玉
ほんのちょっぴりながく
潮騒に浮かぶ

 ( 宇宙の気まぐれこの星か )

あふれ揺らめくシャボン玉
ふたりの ふたりの 数えきれないふたりの

天の川に連なり
波だちささめいて

 ( 宇宙の涙この星か )

イエスが いま 十字架に
ブッダが いま 涅槃に
おさな子が いま
ひなが いま

 ( 罪もないのに死んでゆく )

不思議
時の流れ
蛇のようにくねくねと

 ( なにしてるんだろう )

不思議
とぐろ巻いて
天の川銀河もくるくる

 ( 息してる )

この星が いま 生まれ
この星が いま 消え

 ( なにしてるんだろう )

わたしが いま 生まれ
わたしが いま 死に

 ( 星と
  息を )

めぐりまわりもういちど
となりに
愛するふたり

 ( あなたと
  息を )

ひな わたしまだ愛していいよね
ひとを
おまえを愛しているほどにつよく

 ( 感じあえた瞬間
  消えても 消えない )

わたし抱いているから
愛する おまえを
七色の手のひらで息してる おまえを
かえでの枝で
七色の虹の二の腕で
天の川銀河の渦しぶく腕で
わたしの この腕で
おまえを
抱いているよ

おさな子の星
ひなの星
いつまでもまたたきつづける
おまえを





  *ルビ:山脈(やまなみ)。逝く(ゆく)。七色(なないろ)。



「 ひなの星 ・ ひなの星 」( 了 )

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