高畑耕治の詩


秋、好き



   


彼岸花、鮮やかなあか、くすんでひどく、悲しい。
燃える炎に逢えるだろうか、季節越えて、
もういちど。



   


虫の音あまりに澄んで頭、突きぬける。
吸いあげられて月に、
ゆきたい。



   


この香り、教えてくれたあのひとの、
この香り、好きだといった微笑みの。
微風、オレンジ、あのひとの、
息。
きんもくせい。



   


秋、
好き。

抱かれていたい。




* ルビ 微風: そよかぜ



「 秋、好き 」( 了 )

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