高畑耕治の詩


ゆき、愛しみの


お空はまっ白
おおきな 白鳥の
羽根に覆われ
羽ばたきの音色
あまりに静か
舞い降りる 羽毛の
瞬き

  鼓動まだ きこえる ね
  ふたり 凍えて死ぬの?
  お願い 眠らないで

まどろみの瞳
頬に
項に
産毛 ひかり
あわゆきのむねの
ふくらみ
頬ばると あまい
まぶた閉じ
羽毛に埋もれてゆきだるま

  交わりの果てに溶けだされあなたと
  ゆきと花と小鳥と
  死んでいったひと
  死にゆくひとと
  白く白く
  染まりゆけたら

悲しいクリスマス
 ( ゆき )
悲しいお正月
 ( ゆめになれ )
悲しい毎日
笑顔うばわれても子ども
 ( ゆきが好き だから )
かじかむ痛みにも
 ( ささやいて )
かがやいて

 ゆき す きゆ き
  ゆ きす き ゆき
   ゆき き み すき
  ゆき ゆ め ゆ き
   ゆき ゆ め す き

吐く息 白く
無数の 無念の
涙のしずくさえふんわり
しんしん
なつかしい
微笑みでした

  子どもの瞳に ほら
  ときめきの流れ星
  ゆき野原に
  天の川
  瞬きます

ふくらむゆめ
田んぼにも畑にも
こんもり
木々にも
ほんわり

  白鳥ですか?
  つぼみですか?

冬眠まなこの
季節くすぐり
しくしく
ひかる
ゆきでした

  愛しいです



しとしと
歌ってゆきました



      * 愛しみ、愛しい のルビ = かな
      * 白鳥 のルビ = はくちょう

「 ゆき、愛しみの 」( 了 )

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