高畑耕治の詩


あいのうた(あ)


おおきくなったら

舞い散るだけ
黄ばみうすれ赤に染まり茶に枯れて もう
舞い落ちるだけって
おもってた

いつのまにか

立ち止まっても走っても
おんなじことの繰り返しって歩きながら
道ばたの小さな花を
踏んでいた
なのに

育ててあげなくちゃ 種を
守ってやるんだ 小さな芽をって
雨でもないのに
光でもないのに
おおきな声で うたってた

でもねきのう
むっつのむすめが聞いてくれたんだ

おおきくなったら ぱぱ
なんになるのって

ケーキ屋さんにもお花屋さんにも
船乗りにも野球選手にも小学校の先生にも もう
たぶんなれない
けど

むっつのときとおんなじように
なにかになれる
きっと
なにかが待ってくれてる
呼ばれた気がした

ひろがったんだ
こころに空がどこまでも
あおく
とおく

あこがれて顔をあげ
ふくらむこころのつぼみ
のばしたゆびで
ふれたいんだ
あのあおに

おおきくなって


「 おおきくなったら 」( 了 )

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