高畑耕治の詩


花祭り




ヤマブキきみは笑み




できたものでした
わたしにも

微笑み

涙ため
散らしてしまいつくすまで

桜だった日
わたしにも




悲しく
痛く
苦しいので

眠りを
ねむりに星座を
もとめるばかり

蛍火のような
微かに灯るゆらめきに
すがりつこう
ひたすらむげんに
堕ちてゆけばそのそこにいちめんの

桜星雲




ちみどろびいどろ瑠璃色の
憧れの尽きる果て
消えきらず
わずかに残され灯る


手のひらにむすび
くちびるひたせば
星の雲

桜色の眠りに
生まれにゆきます




そうなんです
そのことだけはさいごまで
信じることができたから

堕天使星屑流れ星
星の落とし児
桜流星
あのひとは

星座生まれ
花のひと




薄幸

薄いうすい花の幸だけは
信じることができました
堕ちてゆきながら
わたしにも




散りながら愛しみ色の
いのちとなること

星の塵のまにま桜色にいまは
かえってゆきます




殺戮まつりの地から
見あげれば星空
とわに

花祭り




※読み 瑠璃色 :るりいろ。幸 :さち。愛しみ :かなしみ。



「 花祭り 」( 了 )

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