高畑耕治の詩


ドライフラワーの残り香




なんとまだ、
月のよう
遥か、火、水、木、金、土星の輪
産み育ててくださったわたしの
太陽
いつまでもずっと
やすらぎたい
遠すぎる
日よう

カレンダー、過ぎた一日
やり過ごしてまた一日
やりきれない用事用件
埋めつくされて
黒い斜線で消していく

ああ、うっ、うう
今日というひと日の
黄昏心象心肺停止
失くした音

あっ、えっ、おお
明日というひと日
白昼夢に
心音
どうかとりもどせますように

美しい具象画
もう望めなくても
でたらめにときめく
抽象画
わけもなく惹かれる
恋のコラージュ
昇天しながら失墜してゆく
らせん旋律
瞳の水で
描ききれますように

花の精
恋い焦がれ、遠く
ちぎれず近場の
酒の精に身売り
疲れ果てたあげくの
作品にさえ
愛情心音
いのち
灯る

産まれ詩に落ち
死に落ちるまで
ああ、ああ、
ああ喜ばしく痛く
悲しく
愛しく
悲苦こもごものなれの果て

銀河系の、この世の星の
瞳の水つきる果てに
死んだ花の
おもむく園
あるという

おも影の
愛する花の
ひとの
残り香
ドライフラワー
枯れ、眩しく
咲く

花の
死と生と
ひそやかな
愛のあかし
無償の


悲に
美に
苦にも

くちづける




※読み 愛しく: かなしく



「 ドライフラワーの残り香 」( 了 )

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