高畑耕治の詩


老いて幼ご




老いおとろえ
幼ごにかえってゆくあなた

生まれ歩みはじめたばかりの
幼ごばかりは
可愛くてならなくて
たちどまり
微笑み
みつめ
励まし
あい

かたこと
愛し生きようとしてきた
きもちそっと
贈って
贈らずにはいられなくて
ゆきすぎ
ふりかえり

少女の無垢に
幼ごの無言にかえり
澄みとおってゆき
眼をとじやがて
生まれるまえにまでかえるとき

あなたの目にうつる夕日の
微光
この世の最期のさよならの
微香が

どうか
かぐわしい

せめて
優しい
悲でありますように
けして
いとわしくなげかわしい
苦とはなりませんように





「 老いて幼ご 」( 了 )

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