高畑耕治の詩


おさなご




しらふでありたいけれど、
しらふのジャイナ教徒は好きだけれど、
アルチュウでしかいられない
虚弱な、愚か者にも
しらふの愚か者にはわかりようもない
人への誠実さだけはあると
バッカス
酒精に今夜は
降参するか

わたしにはぐっすり
眠りこけられる
この世では
まだないから
薬があれば
いいのに
世直しの

眠れる
眠りつづけられる
この世直しの
この宇宙時空の
痛み直しの

目覚めたら殺されるばかりの
おさなごが
今も今もいまもいて
とめられない
おとなたちの
恥ずかしく
惨めな
世界

おさなごは
泣いたら
笑って
くれるけれど

惨めな
みっともない
世界の悪の根源は
いがみあう
創造主
神がみ

人こそ悪くても
造られた生きものそんなに
強くない

一神教でも多神教でもヤオロズでも
どうでもいいので、
人殺しあいのもととなることだけは
もう
やめてください、
いいかげん
やめてくれ

夕方のスーパーで
お母さんと手を結び
よちよち歩き始めたばかりの
二、三才、
ちいさなあの子の
あぶなっかしい
一歩、いっぽ
たどたどしい
一言、ひとこと

生きようとする気持ちを
くじかず
どんなに優しい目で
励ましてくれるか





「 おさなご 」( 了 )

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