高畑耕治の詩


トビの、水平線




浜辺で
波に惹かれ
瞬間
手にしていた
パン
トビに奪われた

気をつけて
気づけず
一瞬
いのち奪われる
魚の気持ち
いましる

生き延び
食べつづけてきたわたしは
捕らわれたいのちの
結晶体

奪ったいのちに
いのち結ぶ
生きもの

わたしもトビ
わたしは魚

愛しさ、慈しみ、嘆きを
この身に
魚肉獣肉鳥肉草肉に
魚心獣心鳥心草心樹心花心に、
いのり奪われるまで
生きる

岸壁には名まえしらず、
まばゆい青
ムラサキの


絶えまなく
輝きのかたち変えつづける、あの
波のきらめき
光の花で
あれたなら、

だれに届きもしない
白い泡立ちの
ねがいごと、この

青空舞い飛ぶ
トビと
潮騒、

水平線に




※読み 魚: さかな



「 トビの、水平線 」( 了 )

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