高畑耕治の詩


季節のあわいに




淡いグラデーションに
終わりと始まりの
あわいに
愛の悲しみと
喜びの
愛に

季節は交わり
死と生の
輝きをまして

アサガオ青い花赤い花枯れて燃える星形の実に宿る種子
セミ皆の絶唱弱まり絶えはじめる夕暮れ
うすれゆく光に
輪唱のように遅れて
独唱さびしい
ツクツクボウシ

耳を澄ませば
微かに重なる
斉唱
鈴虫たちの
鈴なりの
天界への
音階

美しく

生まれる

コスモスも
コオロギたちもやがて目を閉じ
絶える間際
枯野の彼方の
高み
真っ暗な闇
夜空の楽譜
無音パレットに

浮かびあがりまばゆく
輝きはじめる
真珠の
純白
ちりばめられ
真砂なす
輪と輪の

星界の
波紋
静音
無限和音


美しく
生まれる




※読み 真砂: まさご。星界: せいかい。



「 季節のあわいに 」( 了 )

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