高畑耕治の詩


迷い飛び




灯りに引き寄せられ
人工建造物の迷路に
踏み迷い落ちあおむけのセミ

もういちど
飛びあがれ
あの空あの樹木へと

差しのべ振りあげたこの
手のひら
苦しみ加えるばかりの
残酷

ふたたびなんども
灯りに吸い寄せられ
さんざんぶつかり
のがれるすべなく
力尽き


いっぴきなりの
それも


やみくもに
迷い飛び
果て

生かされ生きた
生きる生きものなりの


恋い願うあがきの


生もの生きものあるがまま
生々しくなやましく生きる





「 迷い飛び 」( 了 )

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