高畑耕治の詩


ニンジン色かなしい朝焼けに




山川草木、森羅万象、美しく
喜怒哀楽。あらわしているように。
人なりに、
あらわさずにいられず
あらわし、
伝えあわずにいられず
伝えあい。
わからないどこへともなく
さまよい、
消えてゆく、いまこの
ありのままの限られたときに。
できうるなら
花の姿と咲き、
さようなら

わたしはサカナ
わたしはブタ
わたしはニンジン
わたしはイモ
わたしはおコメ
わたしに
なってくださり、いまも
わたしそのもの


サカナブタニンジンイモおコメ
じゃないわたしなんて
どこにいるのやら

有より無に
悲から美に

光り、
散り

サカナブタニンジンイモおコメの
わたし歌う

わたしは花
わたしは星
あなたは花
あなたは星
なら、
わたしはシアワセ。
なのに

疲れにひきずり落とすばかりの
くたびれきった老いの悟りまがいの
嘘いつわりの繰り言
なんかじゃなく

あのおんなのこ
あのあかんぼの
笑みに
こだましよう

遥か山の
あなたに

かなたに


ニンゲンよりニンジン

ニンジンからニンゲンの
あなたにかなしい
朝焼け

やがて
うすらぎやわらぎ
無色透明の
旋律の


闇と光のきわまりの
果て
無音無限の
楽音へ 

いつか
かかりますように




※読み 山川草木、森羅万象: さんせんそうもく、しんらばんしょう。



「 ニンジン色かなしい朝焼けに 」( 了 )

TOPページへ

新しい詩
目次へ

サイトマップへ

© 2010 Kouji Takabatake All rights reserved.
inserted by FC2 system