高畑耕治の詩


海の 雪



零した酒香にまぎれ悪夢から吸われ堕ち
知らず深く夢魔すら沈みこめない
夢の雪ふき黙り果て消えゆく
海の底の底まで

なんて無意味なイミナイことばの
チリくずウソまみれの

海の 雪

なんて美しい
あきれ見とれ
焦がれ惑わされ苛まれ
海面をウエを宇宙の
天界の底を
見あげ

人魚のように無い足の指の先の
流水形指し示す深みのほうへ
髪を尾ひれのように
ただひらひらと
ノロイ悲しく
息をとめ
祈るように

クイアラタメナサイ
つみのないものにまで
なぜジシンを
つみのないものをまでなぜ
ナゲキのナミダの
底の底の淵にまで なぜ

しずかにふかくどうか
息を
吸えますように
呼吸
できますように

ふかくとおい
底のない
海に





「 海の 雪 」( 了 )

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