高畑耕治の詩


遠景



水たま越しに
すこしゆがんで映る世界ばかりは
( カタツムリのつのの先のおめめばかりにじゃなく )
こんなひとの瞳にさえなんだか優しいものなんだと
( 紫陽花とくりかえしなんどもぬれてきた梅雨 )
なのにようやく知りました

こわれて水たまどこに
ゆくのでしょう
たましいはさすらうのでしょうか
花かげにやすらえる
のでしょうか

カタツムリはなにもこたえてくれずに
からを背負いかがやく軌跡をのこし

遠ざかってゆきます

( ゴルゴダの丘のようでもありました )

彗星の尾のひかりも
カタツムリの歩みあとのしめりも
潮風にふきながされたあなたの黒髪も
かわらない速さで
ゆっくり

遠ざかってゆきます

水平線。
いつかもどれるでしょうか遥か
宇宙水





「 遠景 」( 了 )

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