高畑耕治の詩


花芯



若葉も草も花も
音楽やさしい絵画だねって
耳澄ませるあなたの
旋律
まなざしの
色彩

音符も絵の具もないこのこころの
まぶたあければ
スクリーン越しに
事故現場
チャンネル替えると
銃撃事件
目をそらすスマホには
戦場
がれきの街

目を閉じ
音色模様
さがさずにいられず
さらされさまよう
化学物質の
武器の好きなものたちの
ちみどろの
もや

みどり花びらの
点描画の旋律
暖かに
ひらいてゆく
ときめきの季節

なのに壊された四季
寒い五月
凍え小声で

灰色の
暗黒より
無色無音
ねがいは
透明無限音

花ひらりはらり
ほらねやすらぎ忘れ果てても
澄みわたりうすらいでゆく
遥かなつかしい色彩
あわいあおい音楽の
流れのほとり

せめてさかのぼり
波うつ花びら
渦まく潮の
閉じようとするまぎわの
みなもとの
花芯を
恋う

どこからか小鳥のさえずりも
空たかく澄みのぼり
宇宙の海の
鳥の羽ばたき波うつ
青いバラ星雲

暗黒星雲
ブラックホールさえ
みずからの闇の重みにやぶれやみくもに
輝きださずにはいられずいつか
透明色

しずかにあふれ
かおる
純音の
泉に

吸われおちてゆくその時を
恋うばかりでした





「 花芯 」( 了 )

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