高畑耕治詩集『愛のうたの絵ほん』


ひばりののど自慢


友達の話きいたら
夢をみたの
のど自慢で 鐘がなったの
みっつよ
きんこんかんこん きんこんかんこん
きいん こおん か ああん
タクシーの運ちゃんと
話がはずんで頼まれて
リンゴ追分 うたったんだって
おじさん お金いらないって

そんな話きいた帰り道
星明り歩いてたら
鐘がきこえた 星のおとわたしに
ふってきた きっと夢にまで
おとずれたのね

美空ひばりが死んじゃった日ぼくは
古本屋さん歩いてたんだ
何軒かの店番のおばさん
テレビみて泣いてた
ひばりの歌はよくしらない 有名すぎて反発するしきみの
友達やおばさんのほうが好きだけど おかしいくらい
いい名前だね
美しい空にひばりのうたがきこえてくるよ
目をこらしてもみえないけれど どこからともなく
ふってくるさえずり 死んだひばりたちも
いまは青空にとけて 白い雲の
静かな鐘を鳴らしてる

わたしすずらんみたいな
ちいさな鐘が好き
ぼくもひとつは鐘鳴らしたいな
わたしの胸からきこえない?
( きみの乳房ふたつ )
鳴らして
( たいせつな鐘 )
いいわ



「 ひばりののど自慢 」( 了 )

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