高畑耕治の詩


ひよこ月、星ゆき



ピヨピヨなくばかりの
ヒナでした
わたしも

夜空たかく
三日月
まばゆいほどに
ピヨピヨと
まるであの日のわたしのよう

なぜ他をまもるのか
まもろうとできるのか
まるで益にならなくても

遠いとおい起源から
まもられてきたかすかな記憶の
ふりつもりの果ての
こわれ溶けそうな
いっしゅんの
結晶の

はかなく
きえてゆく
ひかりが

まもられてきたあなただから


三日月こな雪
ふりしきり

ピヨピヨ
かなたあおぐ

夜もなく昼もなくいつからか
やむことなく
星吹雪

いみもなく
ピヨピヨ
なきたたずめば

ははのはね
羽毛の
真綿なつかしく恋しい
星雪景色




*読み 星吹雪:ほしふぶき。。
   星雪景色: ほしゆきげしき。



「 ひよこ月、星ゆき 」( 了 )

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