高畑耕治の詩


旋律、月の光



疲れきった旅人の
よたよたたどる
細い道の向こう

断崖ゆきどまり
登りようもない絶壁
渡りようもない川

あんまりにも
つらい

自己満足わがままの
現代
音楽もどき
自己陶酔語意喪失の
現代
詩もどき

細ぼそと
途切れそうでも途絶えそうでも
曲がりくねり
迷宮の
メビウスの輪でも

切れずつながっている
まだゆけるたどれる

しんじ
みつけ
かんじ
たしかめるあゆみ
音楽の

旋律が救い

旅人の
放浪
さまよいの
さいごの
あがきの
うた
詩の

韻律が救い

みあげれば
みちびきの

ちんもくの
しらべ

ゆくさきもなく
あふれて
しまうだろうに

あんなにも
満月

あきもせずに
くりかえし 秋の
名月

なんてきれいな

くやしくも
澄みきり

ウサギ

おおぞら
わたる





「 旋律、月の光 」( 了 )

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