高畑耕治の詩


白梅の香り ( 短詩の木花 )



 *

香れかなしみも
あのそらのあおに
白梅の花

 *

ながくながく生きてはじめてあなたの香りをしりました

 *

あなたは胸のおくから青空へふくらむあまい香りでした

 *

香りを風の記憶にまき染めて
青空白雲さようなら
ちってゆく花びら

わすれない

 *

にがみのまざらない
香りもあるのだと
しりました

 *

風のあと青空に
とりのこされたのは
ピアノの香る
余韻

 *

水色の空の湖に
バレリーナ
白梅の花

 *

うすらぎ溶け
静まり果て
夕やみ

枝先さす空に
いちりんの
白い
三日月の花

揺れる地をも
見守れ

いのちの花を

見放さず
見守れ

 *

死花
詩花
木花も
香れ




*読み 木花: きばな。木の花。樹氷。死花: しばな。詩花: しばな。



「 白梅の香り ( 短詩の木花 ) 」( 了 )

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