風に薫り
雨に匂う
現代語はもう
失ってしまったけれど
紫式部の源氏物語にいまも
花もひとも
薫り
匂う
「 気づかなくてごめんね 」
「 散って知らせてくれたんだね
ありがとう
きみは
ここに
咲いていたんだね 」
光に照り輝く木の葉のかげ
風を薫らせていたきみ
ちいさな
いのち
星の花
「 あのおんなのこ
ふりかえり
微笑みかえしていたのは
微風に
ふるえるきみの
薫りに
くすぐられたんだね 」
アスファルトの車道に雨つぶは弾け
ヘッドライトに
照らしだされ輝きをます
オレンジやるせない天の川
ずぶ濡れの散り終えた花の
かたち
うつくしく
いのちのあかし
匂う
キ
ン
モ
ク
セ
イ
星
星
花の
星
風に
薫り
雨に
匂う
花のように
散りながらも
咲く
花のように