高畑耕治の詩


黄陽(こうよう)



真昼間真夏の陽射しも
つかのまの
晩夏
いつのまにか澄みきる黄のひかり
瞳に染みいり
息づく初秋

季節きえ果てるまでセミ悲しみの
挽歌
夏草かげにりりりりせつなく
相聞歌

みあげる子猫の
虹彩の
水面
澄みやどる月

深まる黄のひかりに
洗われ染められ
すくいあげられ
どこか
とおくへゆきたいと

コロナにも人間にもむしばまれたこの星の夜に

彩られ
色づき
ふくらんでゆけ

肌色の
あかみの
ひと、生きものの
息づかいする
たおやかな
秋に




*ふりがな 黄陽: こうよう。真昼間: まひるま。
初秋: しょしゅう。挽歌: ばんか。相聞歌: そうもんか。
虹彩: こうさい。水面: すいめん。夜: よる。



「 黄陽(こうよう) 」( 了 )

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