高畑耕治の詩


波色の連奏



 デッサンを。リハーサルで。


描いているのか
描かれているのか
( 細く短く淡く
 線どこまで )

奏でているのか
奏でられているのか
( 脈うち響き旋律し
 音いつまで )

描かれている線に
弾かれている音に
美しさ
なんてたぶん
いつもいつまでも
選べない

ありたい
ありえるほうへと
ねがい

絵に
音楽に
なりたいと
惹かれ
響いて
ゆくだけ



 潮騒、色彩


波うちぎわの
白砂に
描きだされる
透明水の
五線譜もよう

潮の香りの
あわ
きらめきゆらめき
きえてゆき

とおく
とおく
潮騒ばかり



 永遠らせん音楽


結び結ばれ
みえず途切れない
音色に染められ
色彩ふるえる
らせん音楽宇宙絵もよう

海藻の髪の染色体曲線に
絡まれ囚われ息のできない
メビウスの輪の悪夢から
いつか解き放たれますように

懐疑と憎悪と絶望の
りんねりんらん
遍路し
ねがい
祈り
泣きやまない鈴虫の
数えきれない
悲しみの星の音
うちよせる
なみだ色の
海辺で

希望と


あなたに
あいたい



 水色のうた


愛しいひとあなたは

幼い日のわたしの
ちいさな
貝殻
海色の

あの日のわたしの
なみだの
マリモ
湖色の

いつの日も
悲しく
優しい

憧れの




*ふりがな 描く: かく。細く:ほそく。音: おと。弾かれ:ひかれ。
  潮騒: しおさい。白砂: しらすな。描きだす: えがきだす。
  音色:ねいろ。星の音:ほしのね。水色: みずいろ。
  愛しい: かなしい。海色: うみいろ。湖色: みずいろ。



「 波色の連奏 」( 了 )

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