高畑耕治の詩


星のゆりの根



夏の終わりの透明な夕焼けの
ヒグラシのせつなさの音色に
彩られ
みどりの草原の点描画
遅咲きの今年も
咲きゆれる
白ゆりたち

のらねこ子ねこに
子わんこに
かなかなに
ひとにも
ささやいています

「 わたしの白い花びらに
 なりやどる
 とおいとおいむかしの
 ねこ
 みどりのつぼみに
 なりやどる
 とおいとおいむかしの
 わんこ

 わたしのたかいくきに
 なりやどる
 とおいとおいむかしの
 ヒグラシかなかな
 わたしの根に
 なりやどる
 とおいとおいむかしの
 ひと

 わたしの球根に
 なりやどり… 」

汚される地にも
咲きやまない無数の
生きもの
いのちの


壊されてもまた
めばえ空へ
のびてゆき
うつむくつぼみ
やがてふくらみ
いま


できることなら
いつかまた
星の花の
球魂に

あなたとやどり
咲けますように




*ふりがな 草原: くさはら。球魂: きゅうこん



「 星のゆりの根 」( 了 )

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