高畑耕治の詩


八月



   殺されてしまった人たちの声があちこちから
   聞こえてきて
   この地にもまだ訪ねてきてくださり
   くるしい八月



 原爆はアメリカという国家が大日本帝国という国家の地に一九四五年八月六日、八月九日に投下した。その地に生活している人間は敵だとして老若男女問わず生物問わず無差別に痛みと苦しみと悲しみを与えて殺害した。兵器開発した科学者と造り儲けた産業資本家と命令した政治家と実行した軍人と支持する多くのアメリカ国民が無差別殺戮した。

 戦場の兵士と沖縄の人たちを見殺しにしながら本土総決戦一億玉砕を熟考する現人神天皇陛下が原爆投下の惨劇を招き寄せた。国家神道国体護持を狂信強制する政治家と官僚と軍人と盲従する皇国臣民が神国を核実験場にした。

 侵略と植民地支配は大日本帝国という国家が一八九四年日清戦争を機に一九四五年敗戦まで台湾と朝鮮半島と満州と中国と東南アジアと南太平洋でした。その地に生活している人間は敵だとして喜びも希望も誇りも圧殺し老若男女問わず無差別に迫害し連行し殺害した侵略と植民地支配と戦争と虐殺と玉砕を命じ英断した現人神は、戦勝国に命乞いの裏取引をして人間になり、占領軍の司令官に仕えはじめ。被爆者も空襲被災者も植民地引揚者も戦災孤児も強制連行者も従軍慰安婦もお国のための戦死者も特攻玉砕者も、見棄て。

 むちゃくちゃだ。
 原爆を落とした人間も。侵略し戦争し無差別殺戮した人間も。
 むちゃくちゃだ。
 戦争は人間をむちゃくちゃにする。
 むちゃくちゃな人間を崇めさせる。
 戦争をする人間をゆるすな。
 原爆を落とす人間も、侵略し戦争し殺戮する人間もゆるすな。
 むちゃくちゃな戦争をゆるすむちゃくちゃな人間をゆるすな。



   殺されてしまった人たちの声があちこちから
   聞こえてきて
   この地にもまだ訪ねてきてくださり
   くるしい八月

   あやまちはもうくりかえしませんから
   あんしんしてみまもっていてくださいと
   えがおであちらへおおくりしたい
   かなしい八月





「 八月 」( 了 )

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