ある星のちいさな花にその日も
ぼくは話していました。
「 それはずっと遠いむかしのこと
ある星のある時代のある国には
普通選挙権もなくて
立法権も行政権も司法権もなくあるのは
絶対王政
奴隷制度ばかりだったんだよ 」
花はこんなぼくの話でも
うなずき聞いてくれたのです。
「 ある星のある時代のある国では
いちばん大切なものを守るすべさえ
奪われてしまっていた
戦争をしないための
法のかたちを歪め
人権を弱め
差別を強制する
アホ内閣にダマされケガされ
腐ってしまった
ソレハマサニある星の
二十一世紀ヒノモトれいわの国
戦争の世紀ヒトラー第三帝国まがいの
ずっと遠いむかしのこと
原爆でぼくが
殺されたあとのことだけれど 」
花は悲しげに
うつむき聞いてくれます。
「 他国の核開発を非難し罵りつつ
自国の核実験と核事故を繰り返し
放射性物質を撒き散らし
未来を痛めつづけ壊しつづけてしまった
それはずっと遠いむかしのこと
異常気象でぼくが
殺されたあとのことだけれど 」
花はそばにいてくれます。
「 暴力には暴力を
その暴力にはまた暴力を
そのまた暴力にはまたまた暴力をと
無限連鎖を自慢する人たちが
いつもどこにでもいるけれど
暴言も暴力も
愚かさでしかない
戦争殺戮も地球壊滅も
やめてくれと
ピシャリと 」
夢中をさまよいつらくなり
目を閉じてぼくは花に。
「 戦争と核拡散をまねく
どんな大義も詭弁も責任放棄も過ちも不正も
独裁も分立三権の暴走も
見逃さず許さず罰する
永世中立の
独立権
生まれたどの生命も
生まれるどの生命も
だれもだれにも譲れない
生きることを自分が選ぶための
棄権できない権利を守る
個人と社会と国と国の
欠かせないかたち
あたりまえに行われていたのは
ずっと遠い未来のことだったのでしょうか
戦争と紛争と
核投下と核事故でぼくが
なんど殺されるあとのことだったのでしょうか
都市と星が
いくつ壊滅するあとのことだったのでしょうか
ひとりひとりのひとびと生きものがどれほど
悲しみ苦しむあとのことだったのでしょうか
ぼくは忘れてしまったのでしょうか
これから知るのでしょうか 」
生きているのか
わからなくなりぼくは花に。
「 どこにいるの?
花
きみは
きえてしまったの? 」
どこからか
星のひかり色した
きみの
優しい声ばかり
うっすら。
「 それはずっと遠いむかしのこと
ずっと遠いこれからのこと
はるかに
遠く
いま
あなたは
わたしと
咲いてくれて
いる
咲いて
いてね 」
そう
たいせつなのは
きっと
花
きみを
愛して
いること