高畑耕治の詩


青空、羽ことば



わたしがカラスであった日
わたしがスズメであった日
カモメであった日
カモであった日
白鷺であった日
白鳥であった幸せのあの
遠い日

青空の
花華と咲いたあの
愛しくなつかしい日

梅も桃も菜の花も
モクレンも桜もあの日
ともにありました
花ばかりはかわらず今も
ともにあります
ユキヤナギも
山なみの頂のあの
白雪も

星も
枯れ枝に舞い降り宿る
春の


堕ちてゆきました暗闇をどこまでも
羽は凍りつきひろげられず
心臓ばかり裂けそうな声で
孤独孤独孤独孤独と激しく高鳴り
うちのめします鳥目の
飛べないわたしを

流れ星のゆく果て
星空もうっすら
染め溶かされて
朝焼け

初めて羽ばたけたあの日
朝空にぎこちなくわたし
描いたのです

 自由と

あなたとであい
澄みわたる青空
あなたに
羽文字で
描いたのです

 愛と

あの羽ばたきも
花ことば
おお空に紡がれて
花かざり

うながされ
ふたたびわたし
羽ばたいてゆきます
うすもももえる
愛おしい
空へ

あの日もいまも
これからも
青空に
描くのです

 平和を




*ふりがな 羽ことば:はねことば。白鷺:シラサギ。
白鳥:ハクチョウ。花華:はなばな。 愛しく:かなしく。描いた:かいた。描く:えがく。



「 青空、羽ことば 」( 了 )

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