高畑耕治の詩


風姿花伝



 透明花


うっすら
紫さす白
雨にぬれると
失ってゆく花びら

不思議
なんてきれい
どこからきたの?
お名前は?

ちいさな街の
こんな道端
そんなに
優しく

葉かげに
うすみどりの

まもっているの?
透明な
姿

雨に
風に
ひっそり
しっとり
あなたは
澄んでゆく



 ソメイヨシノのさくらんぼ


そろそろ食べられるよと
深緑の花見並木
川べり夕涼みの人

葉かげに
ミニトマト色
姫りんご色
ぶどう紫色
ブルーベリー色
小粒つややかな


誘われて含むとなんて
甘くなくて
苦く
渋く
酸っぱくて
吐き出さずにはいられません

儚く散ったソメイヨシノの


この世で人には
食べられませんと知りました



 雑草の咲き方


外来種で
( ヨソモノダカラ )
有毒の実で
( タベラレナイカラ )
棘もあり
( テイコウスルカラ )
嫌われ
( ヘイトを浴びて )
ワルナスビ
( ワタシタチ日本人よりマシなのに )

うすい花びら
雨に溶け
( 和紙のよう )
風透きとおり
( 桜のよう )

花には花の
生き方がある

雑草の
咲き方がある

野の草に生まれ
野で

花と散る




*ふりがな 透明花: とうめいか。風姿花伝: ふうしかでん。世阿弥の著作の名。



「 風姿花伝 」( 了 )

TOPページへ

虹:新しい詩
目次へ

サイトマップへ

© 2010 Kouji Takabatake All rights reserved.
inserted by FC2 system