高畑耕治の詩


波にぬれ、ひと

  心からうきたる舟にのりそめてひとひも浪にぬれぬ日ぞなき
                     小町 「後撰和歌集」


憂うつの海の波の悲しみの短調の

愛いろに
あおくさくいつまでもあこがれ
ゆうひにたそがれゆらめいてひとは


美しい音楽にはけれどどうしても
なりきれないんだ言葉こころの音

歌にならず
汚れ汗くさくても
がんばれまだがんばろうとひとにむけて
波だつ




*ふりがな 音: おと。汚れ: よごれ。



「 波にぬれ、ひと 」( 了 )

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