高畑耕治の詩


青い花、白い花



舞い降りてアゲハ
どこへゆらめきゆくのでしょう
羽とじてルリ色の花
キキョウにあいたかったのでしょう
るりるるる
青い花
あのこの愛した花でした

なにを失ったのでしょう
淡いあいもうす紫もみんななくして
白い花
星のかたちに咲きました
さみしいキキョウ
モンシロチョウのやさしい
羽になりたかったのでしょう

風にのり
あこがれさまよう
あい色のかなしみは
青い空に
白い雲に
咲きひるがえり
わたってゆくのだといいます

生み育ててくれたなつかしいふるさとの
やすらぎの野山を

おぞましいデブリと汚染水の恐怖にも
くりかえす再稼働の悪夢にも
二度と襲わせはしない
あなたの愛した
あなたと愛した
海辺の街を

なぎさの素足から
はるかなあの水平線まで
波としぶきの
キキョウ
咲き散りゆらめく
美しい海を

アオスジアゲハも
モンシロチョウも
もつれあい
ルリと白
ひかりの潮風に
咲かせ

飛翔の曲線
ひらがな
やわらかに

 あ い

  て ふ

 う み

は な

くるくる
きまぐれに
かよわい羽で
舞い描き

咲かせつづけるのだといいます

海と空の
青と白の
かすむあの
あわいに





「 青い花、白い花 」( 了 )

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