高畑耕治の詩


生と死のノウゼンカズラ



雨ぬれのこるアスファルト
落ちたいまも空みあげ
みずみずしくあざやか
ノウゼンカズラのオレンジかなし

( 花には花の死に方がある )

かたわら赤いタチアオイ
真っ直ぐに茎のぼる花びら
あの空をさし

草むらピンクくるくる
やわらかなバベル
ネジバナの塔
雨雲のむこう
青空にとどけと

( 花には花の生き方がある )

生まれ気づけばノウゼンカズラ
つる草くねくね行方知らずも
寄る辺さがし
絡み這いのぼりようやく
軽やかな花びら開けば

なつかしい重みに惹かれ
抱かれ落ち
地をせめてかなしみの
血のオレンジに染め
埋めつくせと

( 花に生まれたからには花なりの

 生きがいもある
 死にがいもある

 咲き枯れて散り
 咲き枯れず散り
 咲かずただ散るばかりの花にも )




*ふりがな 行方: ゆくえ



「 生と死のノウゼンカズラ 」( 了 )

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