高畑耕治の詩


白ゆりの花、こねこに



真夏の陽射しに鳴き声きえた
のらねここねこはいなくなり

お花の根もとにねころんで
静かにお目めとじてるの?
せみしぐれみあげ野ざらし
紫外線放射能どしゃぶり
あびてるの?

泣き虫こねこはどこいった

鈴の音ならしてごちそうお部屋で
お昼寝してるの?
優しい手のひら感じているの?

くろねここねこはどこいった

お目めの三日月おふねを夜空に
浮かべているの?

のらねこくろねこかわいいこねこ
きえちゃった

まぶしい陽射しにのびしてころがる
愛しいおまえ
のらねここねこ
きえちゃった



   こだま


ほっそり立ちつくす
うすきみどりの流線形
美しい白ゆりのつぼみに

しがみつくままうす茶の
せみの
ぬけがら

どこにいったの?

いまもこねこ
泣いてるの?



   こだま


あちらこちらみどりの草のま
きままにうろついたこねこおまえの
むすうの足跡の星の記憶ちりばめられた
やわらかな土から

立ちのぼりうっすら息をはく
白ゆりの花

ひかりのかげからおまえ
ひょっこり
でてきてくれそうで




*ふりがな 愛しい: かなしい



「 白ゆりの花、こねこに 」( 了 )

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