高畑耕治の詩


うた。満ちゆく月の、潮騒の。反戦の。


(3) 火の海から

    - 「うた。少女の、反戦の」



火の海
炎のすきまに
みえ隠れしている
人の
顔と姿
こころの声

美しい三日月お月さまは
伝えてくれるのです

「 ほらきこえてきます
 人の声

 耳を澄ませてごらんなさい 」

お月さまきこえますわたしにも
あの汚れたビルの街の
三角屋根の国会まえには
多くの人が集まり声をあげています
ちいさま街や村からも
人の声はこだましあい
きこえてきます

「 人の想いは
 海のよう
 みえなくても
 波はふかくとおく
 結ばれています

 ほらあんなに若い女の子
 ノートPC画面にいま
 こんな言葉
 孤独に
 記しています

 わたしの音楽
 ひかりの音符に溶けこみ
 鼓動をうって
 あなたのこころの
 鼓膜を
 くすぐってくれますように
 あなたの
 うたになれますように

 きこえますか? 」



 『  うた。少女の、反戦の


  火の粉は炎を招きよせる
  火のもとは
  官邸

  朝夕むやみに飛ばす戦闘機
  原発
  兵器
  やみくも自己満足見栄ばかりの
  海外トップセールス
  原発事故継続現場ひた隠し
  被災者ほったらかし
  借金ツケ膨れあがらせ
  未来世代食いつぶし

  兵器開発調達輸出を
  防衛装備と偽称する小賢しい
  意味わい曲不明ねつ造用語乱造
  嘘つき開き直り逆ギレだまし放題
  約束反故無責任
  お手本は
  首相

  他者の痛みに盲目鈍感無神経
  ヘイトまき散らし
  他国の脅威叫び
  テロと爆弾呼びこみ

  官邸から延焼
  違憲強行
  国会炎上
  議員も首相も
  火まみれ黒焦げ限りなく
  灰いろ

  法をあぶりゆがめる
  放火も
  みてみぬふり
  保身迎合追従盲従
  しらんぷり
  火の海
  燃えひろがるばかり

  法へ
  放火したのは
  だれ?

  学ばせてくれる
  歴史
  伝えてくれる
  人間
  犠牲とされた人たちの
  無念
  戦争はしないと刻まれた
  憲法

  違憲
  黙殺するのは
  だれ?

  招集令状の赤紙の
  火の粉ふいにポストに舞いこみ
  火事だ戦争だ
  火の海につつまれたと
  慌てふためくまえに

  軍需嗜好独裁志向
  戦争扇動がお好きな
  違法放火魔集団なんて
  だれもいらない
  兵器弾薬原発核弾頭なんて
  つくらない売らない渡さない
  ひとつもいらない

  炎は炎を消せない

  ほんの七〇年前の
  この島のありふれた光景
  燃えひろがる炎の海も
  焼野原も廃墟も
  人の
  嘆きも痛みも苦しみも悲しみも
  二度といらない 』



きこえました
三日月お月さままるで
わたしのうたのよう
わたしの想いのよう
なんて悲しい

お空からのうすあかりも
ただしずかに

「 なんて悲しい
 うた 」




「 うた。満ちゆく月の、潮騒の。反戦の。(3)火の海から 」( 了 )

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