高畑耕治詩集『海にゆれる』


いかつり舟

空が海のあいをすいあげるとき
かもめはどこへかえるのか
かさなりあうかがやき
むらさきにそまる風 もとめあう声も
やすらぎの凪にしずまり
ふかいねむりのなぎさにくろい息をはく

天の河は
かすみそう ね
すずらん
さぎらん あ
つりふねそう

空にゆらめく
星のゆらいをおしえてくれた
しろいゆびさき
ささやきも
かもめも
みえない水平線に
まるいひかりがならんでる

夜の海の
くらい波におびえながらも
とおい沖で
ひとといかはたたかっているから
この瞬間にたいせつなひとがいる



「 いかつり舟 」( 了 )

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