高畑耕治『死と生の交わり』


祈り

(3)


おまえは彼女の祈りを馬鹿にする
彼女の祈りは偽りだという
彼女の祈りには何の意味も力もないという
彼女の祈りに答えるものは沈黙でしかないという
祈ることをやめ 人間の力でという

人間に何ができる
死んでしまったひと
死んでいくひとに

何もできないのなら
なぜ 祈らない
悲しみ
苦しみの
かたわらで

答えてくれるものは何もなくても
祈らずにはいられない
思いが
おまえにはわからない



「 祈り (3) 」( 了 )

TOPページへ

『死と生の交わり』
目次へ

サイトマップへ

© 2010 Kouji Takabatake All rights reserved.
inserted by FC2 system