高畑耕治『死と生の交わり』


ねがい


感じ考え 生きよう いようとしつづける
 ほんとうに感じたらこわれてしまう
  狂う
 わたしはこわされる
  殺される えらぶのでではなくこわされる

こわれないために こわされないために
感じることをやめ 考えることをやめ みつめることをやめ
生きることも死ぬこともできず 生きのびる
生かされ 殺されている 屍に
わたしを殺すことはできない

生きたい 生きていたい


感じ考え 生きよう いようとしつづけ
     狂う         狂っ  た
           わたしが  生きる
わたしを殺す         殺し  た

殺されるのではない
狂わされるのではない
わたしが 生きる 瞬間 死ぬ
わたしが 生きる 瞬間 狂う
殺され た わたしなど いない
狂わされ た わたしなど いない

感じ考え 生きよう いようとしつづけ
いると感じ 生きていると感じ
かぎりなくかけがえなく
息づいている
わたしが
死ぬ瞬間をも
狂う瞬間をも
生きる



「 ねがい 」( 了 )

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