高畑耕治『死と生の交わり』


痛み  生きているひとに ひとりのひとに


あなたは 不安
痛み だから

<やすらぎ>がほしい という言葉を
わたしはわたしのなかにひびかせていたい
わたしがあなたのやすらぎになりたい

あなたは 涙
祈り だから

わたしがとらえようとし
かたく抱きしめても
わたしをこえて
 <ほんとうの> なにか
 <どこにか ある> なにか
 <どこにも ない> なにか

もとめずにはいられない<やすらぎ>にむかい
わけもなく 流れ
どうすることもできず ひびいていく

ここにいる
沈黙ではない わたしは
涙をてのひらに感じることしかできない
祈りを思いをやきつけることしかできない
あなたをやきつけることしかできない

あなたの瞳に わたしを
あなたにはみえないわたしをみつめ
涙のまわり 祈りのまわりを
うかびさまよう
沈み込みとけさることを ねがいながら



「 痛み 」( 了 )

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